2011年7月2日土曜日

道州制と基礎自治体の今後の在り方について

  1. 道州制導入は不可欠なものか(現行の都道府県制の是非) 道州制の論議に入る前提として必要な要件は、まず国が行う行政の範囲を明確にすること。それに伴い国と地方の税制のあり方をどう変えるのか、地域間の格差是正の財源調整をどのように行うのか、国の地方に関する予算編成権をどこまで縮めるのかなどの構想を明らかにすることが必要です。
    それらを現在の県制度で対応できないのか、シビアに検討した上でその対案として道州制の検討に入るべきと考えます。
  2. 現在、地方分権が進められていますが、医療、介護をはじめとする福祉、教育、保育などの制度の構築はナショナル・ミニマムとして国レベルで決めなければならないと思います。それは道州制ではカバーできないと思います。
    むしろ県制度が新たな役割を果たすことが必要と思われます。現在の市町村はお互いに一部事務組合や広域連合を組織して、広域的に事業を進めていますが、形は自治体を形成していても実質の当事者能力は希薄になりがちであり、これからの厳しい社会に対応しにくい現状にあります。その典型的な例は後期高齢者医療制度に伴う県単位の広域連合で、県事業として行い、県自ら高齢者問題に取り組むべきであると考えます。
    県事業として、これらの広域的に必要な事業を展開することによって、県自らが県民(住民)と具体的な事業を通して向き合うことができます。それは課題を肌で感じた政策立案や、国への提言につながり、県民に対する存在感を増すことになります。
  3. 道州制下における基礎自治体の規模、在り方について 前述のように県の機能を高め、市町村の補完機能を果たせば、現在の市町村は存在できます。 個人の価値観は多様化し、外国人も急増している地域社会にあっては、住民と行政との距離は近いことが求められています。 市場原理に基づく効率性だけでは地域社会の安定は得られません。
  4. 合併しない、合併できない小規模な町村の事務権限を制限する考え方について それは県が補完するほうが適切です。従来からその仕組みはできています。
  5. 町村がどのような道を歩んでいくか 前に述べたように、市町村はますます住民との距離を縮めていかないと、地域コミュニティーは維持できません。 それを補完し、直接広域事業を県が担い、市町村との一体感を醸成することが必要と考えます。
(以上、十分に意を尽くしませんが私の意見です。)

平成20年7月23日

東浦町長 井村徳光  (平成20年8月11日)


※今回は、愛知県町村会から照会のあった「今後の基礎自治体の在り方及び道州制に関する意見照会について」(平成20年7月15日)に対する回答を掲載しております。

町長メッセージ バックナンバー2008年8月11日より

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