2011年7月2日土曜日

町制施行60周年に思う

 東浦町は、町制を施行し、今年が60周年になります。60年前にタイムスリップして、どんな時代だったのかをみてみましょう。

 まず、昭和23年5月23日付けの中日新聞は、「東浦町制決定・来月1日清新な発足」の見出しで、「知多郡東浦村はいよいよ6月1日から町制実施に決定した。同村は明治39年5月1日森岡、緒川、石浜、生路、藤江、5村合併から34年目でこんど郡内14番目の町として発足するもの。現在面積、人口は大府町につぐ同郡第2位、主食その他農作物の生産も最高位で、また繊維工業は活気あふれとくに白木綿は全国有数の主産地で今後一層の躍進が予想されている。」と報じました。

 また、昭和23年11月3日付けの中日新聞は、「さる6月1日町制施行した知多郡東浦町は3日新制中学校舎落成式をかね晴れの町制祝賀式を挙げる。同町は、米の収穫高1万5千俵と織布工場50を擁している木綿どころで、こんど落成した新制中学校も敷地1万千坪、校舎建坪千2百坪、総工費1千万円という立派なもので、早くも文部省指定モデル校となり、これまた県下一を誇るもの。」と町の勢いを報じております。

 当時、私は中学1年生でした。落成式のことよりも、校舎のペンキの汚れ落しをした記憶のほうが、一番鮮明に残っているのを不思議に思います。

 ではここで、昭和23年当時に役場から出された通知文書を少し拾ってみましょう。

  1. 一般家庭用電球の配給  1世帯に1個  60ワット1個に付22円90銭
  2. 3月分味噌醤油の配給  味噌90匁、醤油2合5勺
    (自家用味噌醤油を醸造する人には、1人当り1800グラムの特配)
  3. 家庭用マッチの配給
    ・1人~5人世帯 小型1個
    ・6人~11人   小型2個
    (そのころマッチ1本では、かまどの火がうまくつきませんので、薄い木切れの端に硫黄のついた「つけ木」があり、それにまず火を点けたことを覚えています。)
  4. 和傘の特配 大人用131円 子供用96円
    (傘は重くて、油のにおいがぷんぷんした番傘でした。)
  5. 南氷洋鯨肉の配給 1人50匁 11円75銭
    (鯨肉が学校給食に出されたのは昭和28年以降です。)
  6. ココアキャラメルの配給 数え年2才~7才1人1個(70グラム) 15円
    (今般連合軍の厚意により児童福祉週間に際し、幼児向けとして輸入食料によって加工されたココアキャラメルの放出が許可された、と添え書きされておりました。)
  7. 田植え用酒の配給(焼酎) 農家(3反以上)5合 兼農(3反未満)3合 
    (お米がなくて、日本国中飢えており、農家からの米の供出も強制的でしたので、生産意欲を高めるために農家に特別の配給があったと思います。)
  8. 兎の集荷
    ・売りたい方 100匁22~23円見当
    ・肉にしたい方 屠殺賃 20円で皮をむいて上げます。
    ・毛皮を売りたい方 600匁~800匁 40円見当
    (今ならとても出来ませんが、その頃は肉にも飢えており兎を飼ってその肉を食べ、毛皮の防寒着を着た覚えがあります。)

 このように今とは隔世の感がありますが、戦後3年目のわがまちに住んだ1万5千人余りの人たちも、食料品や生活用品の不足と日々値上がりのインフレ経済に苦しんでいた時代でした。わずか60年の歴史でも、後世に語り継がれる大切さを感じます。そして今日の生活態度を反省する機会でもあると、町制60周年に当り 思うこの頃です。


東浦町長 井村徳光  (平成20年5月18日)

町長メッセージ バックナンバー(2008年5月18日)より

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